旅重ねのおきなわ - 金城昌太郎さん

どの出張にも、出張と銘打っているだけで、実は遊びに行っているんじゃないか、という疑惑がある。沖縄については、もはや疑惑ではない。

 

沖縄は来るたびに、新たな発見によって、その記憶に新しい色を重ねる。

 

20代の頃に日本民藝館でみた紅型の美しさに心打たれ、訪れた紅型工房があった。金城昌太郎さんの工房である。

 

沖縄のshoka:さんで一緒にワーペンウエフト沖縄を開催し、旅仲間でもあるヤンマ産業の山崎ナナさんが、紅型を見にいく所用があり、ある工房を訪問したのだが、金城さんの工房もお近くときき、突撃で再度お邪魔してみた。

 

20年前と変わらない風貌と穏やかな物腰。私の苦手なハブの話を熱心にしてくださったのを覚えていると伝えたら、アトリエの奥にハブが出たと実物大の画でご説明くださった。

 

 

20年前に、当時の自分としては大枚をはたいて金城さんの紅型を分けていただいた。古典柄ではなく、パターンになった赤瓦にデザインを感じた。

 

 

今回、そのデザインの背景に、人や自然に対する慈しみのこころから、たくさんのデッサンを手がけられていたことを知る。

 

 

古きを踏襲するのみならず、古きに倣って新しきことを手がけられる姿勢は、アジュラックにも通じる。アジュラックの方々の営みのお話をすると、熱心にきいてくださった。僭越ながら、当日私が使っていたアジュラック布を気に入られたので、プレゼントさせていただいた。

 


その話を、20年前に一緒に旅した友人に伝えたら、若かりし頃の私は、金城さんの竹笛の音に涙していたそうだ。

 

自分は覚えていないことで、また旅の記憶が濃く蘇った。

 

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あわじを超えて- NISHI NISHI(高松)と遠近(徳島)

CALICOのTRAVEL REPORT2019は続く。


デリーに5日間だけ戻って、再び日本にとんぼ返り。あわじ島のうず潮に思いを馳せて、向かう先は、高松のNISHINISHIさんと徳島の遠近さん。夏に向かう今の季節にふさわしいベンガルの手紡ぎ・手織りコットン、通称カディーやジャムダニを中心にしたアイテムが揃う。

 

 

羽衣のようなラック染のジャケット。

 

徳島では、毎年恒例となっている藍染作家 森くみ子さんとのミーティング。

森さんが自主出版で上梓した藍に纏わる歴史の本。

「阿波藍のはなしー藍を通して見る日本史」
https://www.japanblue.info

 

これまでお会いするたびに伺ってきた貴重なお話しが纏められている。わたしなどには一度読んだだけでは理解ができない、至極濃い内容だが、日本の独自藍染の背景と、その歴史に思いを馳せる。

 

森さんが手がける藍染。澄みきった阿波藍のブルーは、その混じり気やキマグレ具合を武器(?)とするインドのものとはまた違う。

 

 

森さんのことはまたいつか詳しく書きたい。

 

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春の名古屋 - sahan

はじめて桜の時期に開催する名古屋sahanさんのでのキヤリコ展。

 

年々、春に挿すピンクいろが増えています。

ピンクは、大人な女性を品よく華やかにします。

 


ハナミズキと sahan店主 安立さん。今年のテーマは、しろ とみました。

 

 

本年もお客様が朝から一度も途切れることなく、沢山お越し下さいました。ありがとうございました!

 

 

最後には、sahanさんが手がけるキヤリコのDMに作品をご提供下さる画家 湯浅景子氏も。

 


本年の湯浅景子氏 作品。
織機のような、楽器のような、何やら美しいものが生み出されそうな。

 

 

春を愛でながら、一路奈良へ。美しき日本。

 

 

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TRAVEL REPORT 2019 - 東京fudoki

東京fudokiさんでの展示会。
初日から沢山の皆さまに、足をお運びいただいてありがとうございました。ギャラリー一階の、在本彌生さんの写真展「手仕事憧憬」に始まり、

 

 

今回は、fudokiさんの計らいで、逗子と沖縄を拠点にインドやネパールのステキなものを集められるchahatさん/シキヤリエさんのビーズアクセサリーや、キヤリコの生地を使ったヤンマ産業さんのお洋服なども同時に展示されています。

 

4/6、7には、そんな皆さんとのトークも。それぞれのインド体験、いつ聞いても楽しいものです。

 

 

桜が散ってしまった後かと思いきや、見事に残っていました。その色、散りゆく様に、すっかり酔いしれました。

 

 

恒例のIndian Canteen Ami 伊藤恵美さん、Samosawala Timokeさんのプレートも。在本彌生さん、恵美さん、Timokeさんとのインド合流を思い出す、芳しき味わいでした。

 

 


キヤリコのTRAVEL REPORT 2019。

この後は、名古屋sahanさんにお邪魔して、一度インドに戻った後、高松、徳島、沖縄(ヤンマ産業さんとの合同展)、鎌倉、大阪... と続きます。どうぞお楽しみに下さい。

 

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春のイベント始まりました

まだまだ花冷えの続く日本列島。
桜や菜の花の、ピンクや黄色を目に焼き付け、あちこちから漂う沈丁花の薫りを楽しみながら、列島横断の旅を続けています。



先週は大分別府のスピカさんにお邪魔しました。昨年から2回目となる展示ですが、早くもリピーターの方がきてくださって嬉しかったです。スピカさんの展示は、4/23まで。(本日4/4はお休みです)



今週土曜日からは、東京板橋のgallery fudokiさんでの展示会もはじまります。4/6から13まで。本年はキヤリコのプロジェクトの現場にご一緒下さった写真家兼旅人 在本彌生さんの布と旅に纏わる撮り下ろし作品も展示いたします。


photo by Yayoi Arimoto 

また、gallery fudokiさんや私 小林も大好きなシキヤリエ cnr by chahatさんによるビーズアクセサリー、ヤンマ産業/山崎ナナさんによるCALICO布を使ったお洋服の展示もあるそうです

 

そんな皆さまとのお話会も4/6土、4/7日 の午後に予定されています。

料理人兼旅人 AmiTimoによる出張カフェもお楽しみに下さい。
4/6土 Samosa wala Timoke
4/7日 Indian canteen AMI

その後は4/10 名古屋sahanさんへと続きます。

また詳細はSNS等でもお伝えいたします。
各地で皆様とお会い出来るのを楽しみにしております。

 

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KYOTO 川島織物とテキスタイルスクール

日本にやってきました!

 

今日は京都鞍馬の方にある川島テキスタイルスクールでインド布産業についてレクチャーをさせていただきました。野田先生の元、タペストリーを作られる生徒さんたちに囲まれて、CALICOの生地やアイテムもいろいろみていただき楽しい時間でした。どうもありがとうございました。

 

 

 

その後、川島織物文化館と綴織などの緞帳を織っている工場をご案内いただきました。日本に帰ってきても慌ただしくしていた私にとっては、思いがけずの至福の時間となりました。


館内では、絵画的な図案を織る様々な技術がふんだんに展示されており、下絵だけでも唸ってしまうお宝が多数。ジャガードはパターンがきちんと決まっていて、色もしっかり番号で管理されていますが、綴織は色の織り替えや”割杢”といわれる糸の混ぜ合わせは熟練の職人さんの感覚でやっているそうです。(インドではジャガードの場合でも色は感覚でやっていそうな・・・)

 

工房の中もすごくキレイで整然としていましたが、自動車の車装用生地の事業をはじめるまでは、多分インドと同じような状況だったとおっしゃられていました。(取引先のトヨタ式がいきわたった結果なのだそうです。)


ただ、ジャガード織などやっていることはインドと同じ。機もほとんど同じ。川島織物さんでは、インドのサリーを織るのと同じようなシンプルな機で、宮内庁から依頼されて正倉院の上代裂の復元などをやっていらっしゃいます。なんと養蚕は皇后さまが担当されているそうですよ。


その絢爛な世界は、カディ・モスリンの工房というよりも、むしろ先日アーメダバードのCALICO博物館でみたゴブラン織りの世界、また先日Blogに書いたKharkhanahs(13世紀以降に誕生した官製工房)を思い出しました。 インドの生産パートナーを連れてきたら面白いだろうなあと何度も思いました。


川島テキスタイルスクール
http://www.kawashima-textile-school.jp/


川島織物文化館

http://www.kawashimaselkon.co.jp/bunkakan/

 

チェンナイ・サントメの旅

11月の後半は、今週天皇皇后両陛下もおいでになる、タミルナドゥ州チェンナイに。

 

私たちの住むデリーとも、布を織っているベンガルとも違う、丸っこい顔つきの柔和な人が多い町です。その中心部から車で15分ほどいったところに、サントメといわれる町があります。そこは、キリストの十二使徒の一人、Saint Thomas(聖トーマス)が、絶命した場所といわれています。(ケララに上陸して、東方に向かって布教の旅を続け、その地でカーリーへの崇拝を拒んだことで殺害されたと伝えられています。)その後、その地にサントメ教会が建立され、その町はサントメと呼ばれるようになったそうです。

 

道路の標識にあるサントメ教会。人と同じに現地語も柔和な雰囲気でかわいいです。

 

サントメ教会の様子。結婚式の最中でした。


鎖国中の江戸時代には、オランダの東インド会社を通じて、このチェンナイの外れのサントメといわれる港町より、インドのキヤリコが日本にもたらされました。

 

日本では、縞模様のキヤリコは江戸の粋人のステータスのように扱われ、それらは出港地に因んで、桟留(サントメ)、唐桟縞、唐桟と呼ばれていました。その粋な模様だけでなく、日本や他の地域にはない、きわめて細い綿糸(80〜120番手)で、密度の濃い独特な綿布が特長でした。また、その流行は日本全国に伝播し、各地でのイミテーション生産、大衆的な桟留生産、綿花栽培を後押ししたといわれます。

 

町に、往時の面影を残すものは殆どみつけられませんでしたが、ベンガル湾を目の前にして、ここから広がっていた日本との繋がりに思いを馳せるのはとても面白いものでした。

 


タミルナドゥをはじめとする南インドは、私たちが今生地を生産している西ベンガル同様、素朴ながらも、歴史と実績のある、しっかりとした生地生産の背景がまだまだ残っている気がします。今度またゆっくり産地をまわってみたいと思います。


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グジャラートの旅

ベンガルの村から一転、まったく正反対の西へ飛行機で2時間半かけて着いたのはパキスタンと国境を接するグジャラート州のアーメダバードという街。ガンディーの出身地でもありインド繊維産業発祥の地とも言えるこの地でボンベイ(現ムンバイ)に並び多くの紡績工場が建てられ、綿布の通称であった「キャリコ」が海を渡超えて世界中に渡っていったのです。


布が好きな人、布に関わる仕事に携わっている人であればぜひ一度は訪れて欲しい場所。館内が撮影禁止で写真をお見せできないのが残念!!

 



布をめぐる旅では外すことのできない“ キャリコ博物館 ”はほかの地では見ることの出来ない古くからアラビア海交易によって富を得た藩王や貴族のコレクションやなどインド国中の国宝に値するテキスタイルの数々を見ることができるとっておきの場所なのです。


私設の博物館なので規模は決して大きくはないものの古い貴族の邸宅ハヴェリを移築した趣のある外観と緑に囲まれた敷地も素敵ですが、300年以上を遡るコレクションピースそのひとつひとつがためいきが出るくらい素晴らしい手仕事によるもので学芸員の女性が丁寧に説明してくれます。


限られた時間内でのツアーは名残惜しく何度でも訪れたいと後ろ髪を引かれる思いで博物館をあとにしたのでした。


他にもル・コルビジュエが手がけた繊維会館や有名なデザイナーを輩出しているインド屈指のテキスタイル学科があるNID(National Institute of Design)へ訪問したほかアーメダバードの旧市街をめぐるヘリテージナイトツアーなどなど短い時間でしたが大満喫!!

 

 

じつはおまけがあって、帰りしな学芸員さんがこっそり教えてくれた市街地にあるというアートブックセンターなるものに行ってみたところ...世界中のテキスタイルとアートの本が四方天井までぎっしりの本屋さんで何時間いてもあきない...困った!

悩みに悩んで購入したのがこちら↓

『古渡り更紗』。やはり知りたくなるのは日本とインドを渡った布のこと。どんなに遠くても時間を作って足を使って一流のものを見る時間は必要と再認識、過去の偉人達の技に刺激を受けたアーメダバード旅でした。

 

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ベンガルの旅

少し肌寒くなってきた11月の中旬。デリーで開催されたJapan Monthの合間に、コルカタといつもの村に行ってきました。

 

今回の目的は、今オーダーしている生地がきちんとできてきているか確認することと、春に向けて新しい生地サンプルをつくリ出すこと、私たちと同じように村の布を愛し、クリエーションしているインド人のデザイナー仲間に会いにいくこと、そしてCALICOのモデルをしてくれているアーティスト松井香楠子ちゃんのインドでの初の個展(@Weavers Studio)をみにいくことでした。これまたモリダクサンな旅となりました。


複雑なデニムのカディーコットン生地を、やさしい風合いに仕立て上げて下さるのは熟練した織人さんの手。


オリッサ州のオレンジガムチャにインスパイアされた色と、定番のブルーx白です。デニムの常識を変える、ふんわりしたやわらかさです。こちらはタオルやインテリアリネンとして日本にご紹介の予定です。お洋服も少しつくるかもしれません。


屋根から垂れ下がる織りパターンの冊。

 

熟練した織人さんはパターンをみて、柄が思い浮かぶそうです。ITのプログラマーみたいですね。これを設計する工程、縦糸、緯糸とは別の糸を織り機に組み込む工程・・・インドでITが発達したのもこの辺りに何か理由があるのかもしれません。

 

そして、今回の何よりの収穫は、ベンガルを拠点にするデザイナー仲間との出会い。CALICOのfacebookをみて、問い合わせてくれたのです!それはそれは繊細で素晴らしいものをつくっていて、私たち自身がとりこになりました。


作家性やデザイン性よりも布の豊かさや産業持続性に焦点を合わせた活動姿勢や、活動がまだ駆け出しというところでも少し似ている私たちは(彼らは私たちよりもずいぶん若いということはさておいて・・・笑)、お互いがインドと日本で少しずつ助け合っていこうということになりました。

 

またそのうち、私たちのコラボレーションをちょっとずつご紹介できればと思います。

 

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